映画について私が全然知らないいろいろな事柄

@ohirunemorphine が、だらだらと映画についてあれこれ考えます。

【日常】おこもり映画館計画。

ぶっちゃけて言ってしまうと、私の生活は単発バイトでなんとかかつかつ成り立っている。

いわゆるイベントスタッフだ。

 

普通大学生くらいがやるバイトをなんで中年女がやっているのかというのはいろんな事情があるので割愛する。

くっそせつねぇ理由がいくつもあるのだ。

 

コロナ騒ぎで3月の仕事全キャンセル食らった。

下手こくと4月5月の仕事も空っぽの可能性がなくもない。

大規模イベントや就活イベントが全自粛。補償はない。

1月2月といつも以上に案件が薄く、いよいよ働きどきという時に、である。

この仕事は社員ともいえずフリーランスともいえない。政府の補償なんてまったく見込めない。

社会構造のエアポケットに落ち込んだ就業形態なのである。当然失業保険なんてない。

 

ここから抜け出したいが、

転職しようにも、エントリーした瞬間 

光の速さでお祈り

 とか

履歴書経歴書送ったが

サイレントお祈り

とかでもう面倒くさくてかなわない。

私よりよほど有能で若い人がこぞって転職活動しているのだ。無能は淘汰されるべき運命、仕方ない。座して死を待つ。

 

戦時中を思い出して実家に疎開することにした。

下宿の床に積んであった本とパソコンと、

録画した映画の円盤をたんまり持って。

 

実家は快適でもあったがしんどくもあった。

常にでかいテレビがつけっぱなしで、

コロナコロナで気が狂いそうであった。

昼は飯テロ番組、午後はワイドショーと韓流ドラマ、夜はクイズ番組。

同じような顔ぶれが同じように毎日大画面を占領している。

観てる方は飽きないのか?

 

後ろにいるショボいアシスタントの女の子の「爪痕残したる」的顔芸がいちいち気に触る。

本を読もうにも気が散り、持参した円盤を観ようにも

 

なんと実家のプレーヤーは壊れていたのであった

 

昔からうちのチャンネル権はおかんが握っている。昔は時代劇、今韓流ドラマ。

じゃあ自室に篭ればいいだろうとは言えど

ここ数年帰省は実に慌ただしく

風のやうに現れ疾風のように去っていくおれである。

せっかくなので家族とツラ突き合わせておきたいのだ。親孝行かは知らん。あちらにしては鬱陶しいだけかもしれない。

さてどうすべぇか、韓流ドラマに付き合うのも億劫だ。

 

そしたらいいもの発見!

Wi-Fi! あるじゃんやった!

タツでパソコン開く。

 

おおおおおお映画配信たんまり観られるじゃねーかよ

親、韓流ドラマ。イヤホンつけた俺、パソコンで『グエムル 漢江の怪物』。言わずと知れたポン・ジュノ

ひとつの部屋の中の韓国はそれぞれ違う国でした

その後ホン・サンス。どうもおかんに引っ張られているらしい。

次『ローリング』観てたが、おかんの突然のアクションに慌てて画面を閉じた(よりによってそのシーンかよ とまるっきりAV見てる中学生男子的反応を示したのはお察し通りである)

はい、夕飯。

 

それからいちにち1本か2本は配信で十分楽しめた。

そんな疎開の日々も終わり…

 

余ってるテレビお前の下宿にあげたいんだけど

 

と 10年前のバカでかいテレビが出てきくさった。

そんなん置いたらあたしが部屋に入れないわい

 

そしたら親、巻尺持って下宿に来たの。

あちこち計測の結果

 

入るわ

 

かくして今まで小さすぎて全く見る気にならなかったテレビで存分に映画が楽しめるようになったわけですよ!

おこもり生活に潤いが!わぁぁいほーむしあたー!

 

しかしここでひとつ問題が。

このテレビ、録画してあるのとか円盤に焼いてあるのとかは観られるんだけど…

うちの近所、

円盤レンタル屋ぼんぼん潰れてるのよね

昨今配信がメインであることはしみじみ実感した次第。ここちょっとの間で。

 

古いテレビだし、うちはスマホテザリングで全部賄ってるので「挿せば配信見られます」的ナニカが使えない(パケ死ギガ死のおそれ

 

というわけで未だにパソコンで映画を観ている。実に勿体ない。

 

なんとかしてパソコンのモニターとしてこのテレビ活用できんだろうか。

少々の画質は仕方ない。

まずはHDMIケーブルとパソコンの変換端子が入り要だが、それでいけるだろうか?

 

たまたま録画してあり、このでかいテレビで観ること叶った

『ベニスに死す』『愛の嵐』が素晴らしすぎて、

これがうまくいったらますます出不精に磨きがかかること間違いない。

 

変な疫病のせいで都内の仕事が全くなく、

自腹で交通費往復千円かかる。

それだけあったらおうちでナンボン観られるのよ!

 

ああ。この大画面活用したい

そう思いながらも未だにパソコン抱えてお籠りしているのである。

 

配信レンタルって意外とお値段するのね……

ますます交通費削らんと……

 

(2020.10追記)

その後の記事に書いたかどうか忘れましたが、

パソコンとテレビを繋ぐケーブル買ったら

あっさり大画面で映画楽しめるようになりました。

 

問題は

なかなか何時間もおうちで映画に向かえないことです

 

 

 

(京都開催のこのタイミングなら言える)今更ながら2019東京フィルメックス感想諸々。

時間がある時に書いとかないとね。

 

今更ですか?と言われそうですが

2020年3月13日から20日まで

demachiza.com

このタイミングでアップしないと完全に機会を逃す。

昨年11月の東京フィルメックス感想です。

 

オフィス北野のお家騒動のあおりを食って危ないところを

東京国際映画祭のスポンサーでもある木下グループに助けられ

ほっとしたのは一昨年のこと。

 

……1年、開催直前でほっぽりだすとは鬼だろうて。

  

このあたりのことを記者会見で一切触れなかったフィルメックスの皆様大人すぎ。

まぁ京都の映画制作会社シマフィルムさま、IT関連企業コネクションズさまが新たに協賛について無事開催。

 

シマフィルムとフィルメックスといえば

第5回に『おそいひと

第10回に『堀川中立売』(共に柴田剛監督)が

コンペティションに選出されています。

良いご縁に恵まれて……

今回の京都上映のラインナップに入っています!

出町座にはまだ行く機会に恵まれていないので

いつか京都に行く機会があれば是非行ってみたいです。

 

また、香港の騒乱の影響を受け、

とんでもない直前に審査委員長が変わるというアクシデントも。

ほんとに急遽来日してくださったトニー・レインズさん。

アジア、大混乱中です(日本無能すぎて以下略

 

さて。

今回はゲストも豪華でした。

オープニング『シャドウプレイ』とあわせて

第1回最優秀監督賞『ふたりの人魚』が上映された、ロウ・イエ監督。

『ヴィタリナ』のペドロ・コスタ監督。

『HHH 侯孝賢』のオリヴィエ・アサイヤス監督。

これだけで結構「おぉぉぉ」って感じです。

同時期にアンスティチュ・フランセで企画があったので、

 ひょっとしたらフィルメックスはついでだったのでは、という邪推は

 ひとまず横に置いておきましょう

 

われわれの中でいちばん盛り上がったのは……

フィルメックス常連、ペマツェテン『気球』QAゲスト。

私ら(特に連絡取り合ってるわけでもないのに、会場でばったり逢うとキャァキャァ女子話が止まらない、数少ない映画友達です……お友達欲しいよぅ)はすっかり、

 

来るのはまたペマ師匠でしょ

 

と油断していたんです。

もはや運動会とか文化祭レベル

そしたら

 

来たのはなんと

ジンパさん!

昨年上映された『轢き殺された羊』に引き続き主演を務めた方でした。

うぉぉぉぉ

 

もう見るからに肉1キロまんじゅう15個ペロリと平らげても納得できるワイルドさと

インテリジェンスな雰囲気漂う偉丈夫でございました

やだまぢでかっこいい!

絶対日本ではお目にかかれないぞこんなお方!

 

もう女性陣こぞって群がった。

めっちゃ群がった。

羊にすらこんなに寄ってこられねぇだろってな勢いで群がられすぎて

ジンパさんすっごい挙動不審になりかけていたところに

 

フィルメックスの鎮守の神ナデリン降臨

 

なぜか常に東京にいる気がするイランの巨匠アミール・ナデリ監督、サイン待機列に乱入ししっちゃかめっちゃかに。

 

イチヤマサァァァン」とナデリンが吠え、

 おろおろするジンパさんと

 苦笑しながらも混じる市山ディレクターの

 幸せなスリーショットでした。f:id:ohirunemorphine:20200215203009j:image

 

(なお、岩波ホールで上映されている、ソンタルジャ『巡礼の約束』にも

 ジンパさんご出演されていますが、

 お名前表記は、より発音に近い「ジン」とされています。濁点半濁点!

 固有名詞の表記揺れに関しては

 フィルメックスあるあるなので、そりゃしゃーないわ、

 気にしないことにしましょう。

 リティ・パニュ→リティ・パン、とか。)

 

さて。

今回のフィルメックス裏テーマは

オンナはツライよ」に尽きたと言えるでしょう。

もう様々な状況で女性の受難をこれでもかと見せつけられました。

一応オンナとしてはまぢでツライことこの上なかった。

「産む性」「所有される性」であることをこれ以上なく思い知らされました。

 (そう考えると、「産む機械」「所有される対象」としての存在から解放されるということは幸せなことなのかもしれない!)

 

しかしよくよく考えてみると、

監督は男性ばかりなのです(日本からの出品『つつんで、ひらいて』の広瀬奈々子監督除いて)。

特に私はあるいくつかの作品で、

で? それに対してあなたはどう思ってるの? それでいいと思ってんの?」と

胸ぐら掴んで問いただしたくなりました。

 

いや、女性の辛さに焦点が当たりがちなのは今に始まったことではありません。

第14回最優秀作品賞『花咲くころ』はグルジアの誘拐婚児童婚を扱っていましたし、

第18回の同賞、インドネシア映画『殺人者マルリナ』(『マルリナの明日』)も、女性に襲いかかる悲劇が発端です。

しかし、この作品たちは、はっきりと作中でそれに対して異をとなえています。

少女は怒りを込めて男舞を踊り、

蹂躙されそうになった未亡人は凄まじいばかりの反撃に出ます。

その痛快さといったら!

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そして両方とも、監督は 女性なのです。

当事者意識がそこにあるのかどうかは知らない。けど、それを描いたのは、女性。

 

第20回。

ここまで見事に「女はつらいよ」映画が揃っていて

監督は全員男性ってのは

どうコメントしていいのかわからない。

個人的には「男性・女性」とたった二つで人間を分けてしまうのはあまり好きではないのですが……

 

審査委員はものすごくバランスが良かったので……

トニー・レインズさんが「アジア女性が2名、日本男性が2名、そして白人のおっさんが1人」とおっしゃっていたように、審査の段階でふるいがかけられたのではないかと思います。

授賞された作品をみてなんとなくそう思ったのですけどね。

最優秀作品賞は(もはや恒例)ペマツェテン『気球』。

中国政府の政策とチベット的価値観のジレンマに悩む夫婦の物語。

そりゃ産児制限すれば輪廻も渋滞しますわ

 

特別賞はグー・シャオガン『春江水暖』。

水墨画の絵巻物をそのまま映し出すようなチャレンジングな長回しと、普遍的なファミリーヒストリー

文化的に「家」に縛られかねない女性の背中を押すのが、ほかでもない「その家のおばあちゃん」という優しさ。ほろり。

そしてスペシャルメンションは『昨夜、あなたが微笑んでいた』『つつんで、ひらいて』と直球ドキュメンタリー。

まぢでしんどい作品が多かったのですこしホッとしました。

 

さて。

そんな今回のの裏テーマでしたが。

作品として「女の辛さ」に寄り添う、うまい処理をしたなと思った作品は

ミディ・ジー『ニーナ・ウー』が挙げられます。

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#MeToo運動に触発され、主演ウー・カーシー自身が脚本を手掛けた本作。

地下アイドルが地上に出るときに浴びる壮絶な洗礼が、ヒッチコックあるいはリンチ調サスペンスタッチで描かれます。

MeToo映画としてというより、どす黒いバックステージに心身を蝕まれていく女優の物語で、

サスペンスとして非常にスタイリッシュな仕上がりです。

そこで、新人女優にとっては非常に抵抗のあるだろう、とあるシーンの処理が、

なんというかとてもデリカシーが感じられるものだったのです。

これが監督のアイディアだったらなんという繊細さだろうと思いますし、

これがウー・カーシーさんのアイディアだったら「本人よっぽど嫌な目にあったんだろうなぁ」と悲しくなります。

 

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ちょうどこの作品を観た直後、『血観音』(ヤン・ヤーチェ、2017)を観る機会がありまして。

台湾本国で興行的にも大成功し数々の受賞も果たしたこの作品。ウー・カーシーさん、もろにセクシー担当で……日本のAVを観て役作りをしたという裏話も聞いてしまうと……その時の経験が生きちゃったのかなぁ、とか。

 

次いってみよう。

一見「禁断のメロドラマ」、

みようによっちゃ「うらやまけしからん」作品だと思わせておいて、

実はとんでもなくシビアな政治性を持っているであろう作品が、アンソニー・チェン『熱帯雨』。

私はこの作品2回観ました。そして最初は騙された。

私のまわりでは結構この映画は賛否分かれてまして、特に第14回観客賞を受賞した前作『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013)をご覧になった方におかれましてはもう生理的にダメというお声も伺ったのですが、

私は別にそうとも思わず、むしろ「エモいな……」と好感すら覚えたのです。

心震える感覚を「エモい」の3文字で表現する頭の悪さは自覚してますので怒んないでください

 

しかし。2回目で気づきました。

シンガポールでの移民の立場を。

シンガポールにおいて、中華系移民が「自ら望んで文化を失いつつある」意味を。

 

私が気になったところは「言語を捨てつつある」というところです。

言語は民族のアイデンティティ。植民地政策においては、まず「言語を奪うこと」から始めるということはよくあることでしょう。

多民族かつ外資系企業も多い、ハブ地点であるシンガポール公用語は英語です。そして、おそらく稼げるホワイトカラーになるためにはよりネイティブな英語が必要とされることでしょう。

人口の7割を占める中華系ですが、彼らはどんどんその「アイデンティティ」を放棄しつつあるように思えます。

わざわざ中国語を学ぶために先生についてもらうなんて、ってな感じ。

 

そしてこれは監督のティーチインで語られたことですが、

シンガポールで中国語教師として働く人々はほとんどマレーシア移民なんだそうです。

シンガポールの移民政策の厳しさはよく知られるところ。

そして、この主人公の中国語教師は、シンガポール人と結婚を果たし、シンガポール国籍を取得できるかどうかというところです。


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おなかに注射を打ち、苦痛に耐える表情が映し出されます。

私は鈍くて「インシュリンかな」だったのですが

あれ

 

排卵誘発剤の注射

つまり

 

妊娠のための苦痛だったのですね

 

子は鎹。

いや、子どものいないシンガポール人とマレーシア人夫婦って、政策的にとても危ういものなのだとわかります。

しかし

シンガポール人の旦那は夫婦の子作りにあまり関心がない模様。

さらには

 

不倫してる!

 

浮気不倫につきましては昨今日本でもさんざん話題になっておりますが、

まぁ「奥さんのつらさを放っておく」ってのもしんどい話ですわな。

 

しかし彼女に想いを寄せている人がいました。

それは「恋とも憧れともつかないもの」。

本人すら気づかないかもしれなかった感情。

気づかないままの方が幸せだったのでしょうか?

 

ああ、いずれ日本でも公開されるんじゃねって作品の核心を避けるのって難しいなぁ。

 

少年の「先生への憧れ」は

ついに暴力的な手段でその想いを表出する羽目になります。

はっきりと「女はつらい」瞬間ですが

彼女はそれを赦します。

武術のチャンピオンである彼はそれしか手段を知らないのでしょう……

そして彼女は「愛情のない結婚生活に行き詰まりを感じていた」。

 

少年ははじめての恋にウキウキ。

先生は……

多分複雑な思いをしてるんだろうけど……

愛情を欲してる時に好意を寄せてくれる人がいるって、なんにせよ「嬉しくないわけがない」のよね

まぁここからはネタバレを避けるために

当然2人は別々の道を歩み

夫婦も別々の道を歩むとだけ申し上げましょう

 

しかし

このシーンで私の涙腺は決壊しました。

 

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「はじめてだから忘れたくない」

「いつかは忘れる」

 

わかりますか私の心がビリビリくるこの感覚。

初々しい記憶もいずれ薄れるという切なさ。

真夏の雨のように、激しく打ちつけそして蒸発してしまう想い。

 

離婚した彼女は故郷に戻ります(シンガポールでの移民の立場の弱さ……

このシーンが、ウォン・カーウァイ欲望の翼』っぽくてまた素敵

彼女は少し微笑んで空を見上げ……

 

そういえば、「アンソニー・チェン監督ってヤスミン・アフマド監督好きなんじゃないか」と思わせる、小道具の使い方が見られます。例えば……

 

避けるぞ、ネタバレ。

 

『お守り』のショットがすごいさりげなくいいタイミングで入ってくる!

彼女が泣いているのか笑っているのかわからない声だけが響きます。

彼女が帰国する本当の理由はこのシーンにあるのかもしれません。

 

そしていい味出してるおじいちゃん。隠れたストーリーテラーです。

(めっちゃいい笑顔のお写真を見かけたのですが見つからず。)

 

あれ?

ほとんど『熱帯雨』のことしか喋ってねーじゃんか。

「子どもが欲しい」という女性の思いについてとか

すごくいろいろ考えてしまう本作ですが

この辺にしておきましょう。

 

ほかに、

昨年の裏トリビュート監督がウォン・カーウァイなら、

今年は侯孝賢だな! 決まり! 

『気球』『春江水暖』どちらにもその影響が見られます。

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』の魔術的ワンシーンワンカット……アヘンに当てられて夢のように時間は過ぎ……

 

あれ? もう終わり?

 

アサイヤス『HHH 侯孝賢』でのカラオケ熱唱シーンで場内に笑いのさざなみが……

あそこで「乾杯」を全力で歌いたくなったのは私だけではないでしょう。

 

あ、5000字超えちゃった。

このへんにしといたるわ。

 

ところで。

この2人と

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この2人

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同一人物の組み合わせってちょっとわかんないですよね

 

 

バブルな音楽映画。

 80年代後半に製作された音楽映画にちょっと興味があったのです。

なかなか観る機会がないそれらの作品。

神保町シアター様がなぜかちょいちょいかけてくださるので今回書いてみようかと。

  

普段は古い日本映画の名作の数々をかけてくださる神保町シアター様ですが

新文芸坐様と合わせて森雅之ご出演作がたくさん上映されるので

 遅れてきたコレクターには心強いです)

どういうわけか時々

時代の徒花

としか言えないような珍品が出てくるんです。

 

昨年末は『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』(1985)なるバブリーな作品をかけてくださいました。

『ふ・た・り・ぼ・っ・ち』(1988)の主演は最近また再結成ライブを行なって我々世代をしみじみさせてくれたバービーボーイズKONTAでございました。

 

数年前には『すかんぴんウォーク』(1984)(吉川晃司!  いうまでもないけど!)もこちらで上映してくださいまして、ありがたく拝見いたしました。

2017年秋ですね。ところでクレイジーキャッツ祭りの中これをチョイスしたということはなんという変化球でしょう。ナベプロ

 これが私としては非常に「いい!」と思える作品でした。いや、これいい作品ですよ。

 

実はこの作品を観て「アイドルミュージシャン映画」にちょっと興味が湧いてきたんですが、

思い返せばさらに遡って1年半前、2016年の晩冬でしたでしょうか。

珍品中の珍品がここで上映されていたのでした。

 

岡村靖幸主演。

『Peach どんなことをしてほしいのぼくに』(1989)

ええ、限定レイトショーで連日満席でした。

あまりの珍妙さ加減に

場内爆笑に次ぐ爆笑だったのが

だんだん皆さんその毒というかへんな瘴気に当てられて

すっかり静かになってしまったという

その「不可思議な空気」をよく覚えています。

 

私は随分と早熟な岡村靖幸ファンでして、早熟という言葉使いたかっただけ)

まだアルバムすら買うお金のない時期

  (ここだけの話CDデッキすら普及してなかった時代っすよ)

音楽雑誌をたまに買っては舐めるように眺めていたものですが

   日清パワーステーションのライブなんて行こうとする考えすらなかった

 

そんなある日

靖幸ちゃんが映画を作ったという怪情報が雑誌に掲載されました。

 先日実家に帰った時にこの一次情報を探そうとしたのですが、

 震災に遭った時にこの辺の資料が雪崩をうったらしく

 その後分類されることなくコンテナにぶち込まれていたため断念しました

 

「これは、純愛ブルーフィルム」

 とかなんとかいうキャッチコピー。

「演技なんて簡単だった」とか舐めくさったこと雑誌のインタビューで語っていたのを覚えております。

 (この辺のしっかりした資料が実家のどこかに埋れてるはずなんですけどね)

確か……上映は「パルコ劇場」だったんではなかったでしょうか?

景気のいい話ですなぁ。こんな映画パルコ劇場でかけるとは

 

監督は坂西伊作。

「eZ」というものすごくセンス良くてカッコ良い音楽番組を手掛けてらっしゃいましたね。EPICソニーのPVをたくさん撮影されてた方です。

 

 

まぁ……ミュージックビデオを手がける映画監督は結構いますが

この『Peach』は

もはやただの長ぇ靖幸ちゃんのPV でありそれ以上でもそれ以下でもない

 強いて言えばバブルの時期の軽薄な若者の恋模様(イメージです)……

高校中退してすぐ作曲家として仕事始めちゃった靖幸ちゃんの「憧れの青春」だったのかもしれんですな。

 

(しかしその後無理やり友人を連れ出して江ノ島ドライブを試みたのは秘密) 

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(ちょうどいい写真が見つからなかったので画面撮りですよ。なにしてんだオレ)

 

先に靖幸ちゃんについて字数を割きすぎましたが(愛ゆえそしてあまりの珍品ゆえ

※お詳しい方からのご指摘で、この作品なんと配給アップリンクだということを知りました!アップリンクまぢか!ありがとうございます!

 

今回たまたまチェッカーズKONTA(あと玉置浩二ね)が出てる映画をまとめて見られたのと、

靖幸ちゃんの親友、吉川晃司の『すかんぴんウォーク』がなんであんなに面白かったのか、

映画として「ミュージシャンを役者として起用する意味」がどこにあるのかと、

つらつら考えてしまいました。

 

『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』監督は川島透。

この映画はもうのっけから「売れっ子アイドル」をどう料理するかにかかっていますが、

初っ端のダンパシーンでもう大成功してるんじゃないか、と私は思いました。

バリバリのアイドルである彼らですが、音楽はものすごく忠実に50’sだし。

www.youtube.com

ちょっと『牯嶺街少年殺人事件』の演奏シーンを思い出してしまいました。

ちょうどいい動画が見つからなかったので、

こちらをお聴き頂きながら

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この画像をご覧ください。

 

まぁあとは彼らの可愛らしさを手堅く見せてくれて大変よろしい。

あとこのラストシーン!映画ならではのスケール感で大変よろしい。

場内を埋め尽くした「あの頃からのファン」のお姉さまがたの喜びようは

なんだかこちらも嬉しくなりました。ひょっとしてエキストラの方々だったのかしら。

 

『ふ・た・り・ぼ・っ・ち』は……

 これめっちゃ好み分かれるやつや 

 

どうしてこの手の映画の女性の演技って型があるんでしょうかね……

男の「嘘がつけない不器用さ」を出すにはKONTAじゃなくても適任がいたのでは(折角の人気ミュージシャンの無駄遣い……

監督は榎戸耕史。相米慎二の助監督を長年務め、この作品が初監督。

ボーイ・ミーツ・ガールものの傑作、という方もいらっしゃいますし

要所要所の処理が甘すぎてどうも……という方もいらっしゃるようです。

あちこちのレビューサイト漁ってしまいました。

 自分の感覚がおかしいのかと思ったのよね

ミュージシャンを起用するならある程度当て書きが要るのかも

 玉置浩二クラスになれば別だけど。

 いかにも嫌味ったらしい上司役で出ておりましたがさすがの達者さ。

 

そして吉川晃司『すかんぴんウォーク』ですが、

これなにがいいって「脇がガッチリ固まってる」ってのと

名曲「モニカ」がどうやって生まれたかの絶妙な「虚実皮膜」っぷり。

はっきり言って民川裕司は「主演」であり、同時に「売り出される対象」ではあっても

この作品を成功させているのは

 

のっけからバリバリ蟹食ってる蟹江敬三とか

「コドモに媚びた映画じゃねぇぞ」てな気概すら感じさせる鹿取容子の脱ぎっぷりとか

突然の宍戸錠とか

 

そして何よりも

山田辰夫の芸術性すら感じさせるスタンダップ罵り芸

 

脇のキャラ立ちすぎや

監督は『ヒポクラテスたち』(1980)の大森一樹。いい仕事しましたねぇ

      突っ込みどころのファーストシーンも含めましてね

 

ふと考えると

「何者でもない」若者をここまで大プッシュして見事大ブレイクさせるってのは

どんだけのブレーンとお金が注ぎ込まれたのでしょうか。

まさにバブリーすぎやろ

 

                  ちなみに私、その後の2作は未見です

              なお、画像や動画がないのは、リンクを貼っていいものかどうかわからないものしか見つからなかったという単にそれだけの理由

 

 

私はバブルに間に合わなかった世代です。

しかし、いろんなものにジャブジャブお金が注ぎ込まれた成果を見て育ってきた世代です。

バブルの残り香をクンカクンカしてきた世代です。

 

あの頃は何しろ普通な意味で子供だったのでいろいろリアルタイムで経験できなかったことを

今になって振り返ることができるのは幸せなことなのかもしれません。

まだまだ私の「知ってるようで知らないあの頃」があるのでしょう。

あー、ずっと書こう書こうと思ってたネタを放出できてもうそれだけで満足です。

 

しかしなんであんな景気のいい時代をこのクッソ寒い時代に振り返るという拷問プレイを食らわなければならないのだ

 

そういえばあの頃役者としても活動していたミュージシャンというと大江千里も思い出されますが

あの方は見た目がすでにただのリーマンで違和感が全く仕事していないという

 

【ほぼ全ての情報等リンクつけました】去年見た映画を全部リストアップ。

たくさん観ていると年間ベストって出しづらいんじゃないかと思う。

だって

 

どれ観たか忘れちゃってるんだもん

 

遡ってチマチマ調べてみるね。

けど

 

それ以上のなにものでもない。単に私が昨年観た映画の羅列です。

そんだけなのです。

 

2019年12月

神保町シアター

東京上空いらっしゃいませ

TAN TAN たぬき

ふ・た・り・ぼ・っ・ち

シネマカリテラストムービーデニス・ホッパー

武蔵野館野獣処刑人 ザ・ブロンソン

神保町シアターコタンの口笛

ル・シネマバグダッド・カフェ

アンスティチュ・フランセデーモンラヴァー

TOHO日比谷シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション

 

2019年東京フィルメックス

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』

『HHH 侯孝賢

『カミング・ホーム・アゲイン』

『昨夜、あなたが微笑んでいた』

『熱帯雨』

『ヴィタリナ』

『春江水暖』

『水の影』

『波高』

『気球』

『ニーナ・ウー』

『ふたりの人魚』

『評決』

『大輪廻』

『夢の裏側』

『シャドウプレイ』

 

新文芸坐シネマテーク都会のひと部屋

シネマカリテアダムズ・アップル

アテネフランセ私が食べたフランス人

ル・シネマ第三夫人と髪飾り

K's Cinemaザ・レセプショニスト

アップリンク渋谷アースクエイクバード

台湾文化センター血観音

ユーロスペースあなたを、想う。』

 

東京国際映画祭

『ゴーストタウン・アンソロジー

WASP ネットワーク』

ばるぼら

『サイエンス・オブ・フィクションズ』

『夏の夜の騎士』

『列車旅行のすすめ』

ファストフード店の住人たち』

『死神が来ない村』

『モーテル・アカシア』

『リリア・カンタペイ 神出鬼没』

『フォックストロット・シックス』

『叫び声』

アトランティス

『ひとつの太陽』

 

2019年10月

ヒュートラ有楽町ボーダー 二つの世界

TOHO日比谷?真実

TOHO日比谷?ジョーカー

丸の内TOEIワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト

 

2019年9月

イメージフォーラムサタンタンゴ

台湾文化センター大仏+

ぴあフィルムフェスティバル

メランコリーの妙薬

ボーイ・ミーツ・ガール

変態村

アンスティチュ・フランセTokyo Eyes

新文芸坐

コミック雑誌なんかいらない!

水のないプール

ヒュートラ渋谷ドッグマン

アップリンク渋谷メランコリック

ヒュートラ有楽町やっぱり契約破棄していいですか?

早稲田松竹さらば、わが愛 覇王別姫

TOHO?ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 

2019年8月

新文芸坐聖なる酔っぱらいの伝説

シネマカリテ?鉄道運転士の花束

K's Cinemaラブゴーゴー

イメージフォーラム

細い目

グブラ

ゴーモン特集

神保町シアターけんかえれじい

アテネフランセ

間奏曲

真夜中の青春

K's CinemaハッパGO!GO! 〜大統領極秘指令

神保町シアターモダン道中 その恋待ったなし

 

2019年7月

早稲田松竹バーニング 劇場版

神保町シアターわるいやつら

ヒュートラ?シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢

新文芸坐シネマテーク冬の旅

ヒュートラ渋谷COLD WAR あの歌、2つの心

シネマヴェーラ気違い部落

ユーロスペース旅のおわり世界のはじまり

新文芸坐浮雲

イメージフォーラムサマーフィーリング

ヒュートラ有楽町?ペトラは静かに対峙する

神保町シアター告白的女優論

 

2019年6月

誰もがそれを知っている

EUフィルムデーズ

スーパージャンプ・リターンズ

いかにしてフェルナンド・ペソーアはポルトガルを救ったか

クイーン・オブ・アイルランド

ロミー・シュナイダー その光と影

アンスティチュ・フランセ憂鬱な楽園

TOHO有楽町?さよならくちびる

有楽町シネマ卒業

ユーロスペース『勇者たちの休息』『7月の物語』女っ気なし

 

2019年5月

アップリンク渋谷氷上の王、ジョン・カリー

神保町シアターあらくれ

アップリンク吉祥寺台北セブンラブ

新文芸坐シネマテーク六つの心

東京都写真美術館救いの接吻

ヒュートラ渋谷?ハイ・ライフ

イメージフォーラム日曜日の散歩者

神保町シアター洲崎パラダイス 赤信号

台湾巨匠傑作選2019熱帯魚

          『若葉のころ

          『台北の朝、僕は恋をする

神保町シアター女であること

ユーロスペースぼくの小さな恋人たち

       『ママと娼婦

ヒュートラ有楽町幸福なラザロ

 

2019年4月

新文芸坐シネマテークお家に帰りたい

          『人生は小説なり

ヒュートラ有楽町ザ・プレイス 運命の交差点

武蔵野館芳華 Youth

TOHO日比谷?運び屋

シネマカリテサッドヒルを掘り返せ

      『私の20世紀

恵比寿ガーデンシネマラストタンゴ・イン・パリ

アップリンク渋谷クイーンヒストリー 1973ー1980

早稲田松竹オアシス

ヒュートラ渋谷?孤独なふりした世界で

 

2019年3月

台湾・高雄愛情零極限』(ある誠実な男・パリの恋人たち)

ユーロスペース月夜釜合戦

新文芸坐妻として女として

    『娘・妻・母

有楽町シネマ・京マチ子映画祭

       『有楽町で逢いましょう

       『痴人の愛

       『雨月物語

       『鍵』

       『赤線地帯』

イオンシネマ浦和美園ROMA

イオンシネマ浦和美園翔んで埼玉

ユーロライブサンセット

どこかの試写室僕はイエス様が嫌い

シネマカリテ?ノーザン・ソウル

TOHO新宿?劇場版シティハンター 新宿プライベートアイズ

TOHOシャンテ?ビール・ストリートの恋人たち

 

2019年2月

TOHO日比谷?女王陛下のお気に入り

恵比寿映像14個のりんご

ギンレイホールウインド・リバー

       『search

新文芸坐シネマテークブランシュ

イメージフォーラム500年の航海』『トゥルンパ祭

シネマート新宿ゴッズ・オウン・カントリー

 

2019年1月

ユーロスペースひかりの歌

シネマカリテ?MOST  BEAUTIFUL ISLAND

ヒュートラ渋谷特捜部Q カルテ番号64

イメージフォーラム アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ

         『快楽の漸進的横滑り』

         『囚われの美女』

         『嘘をつく男』

イメージフォーラムアタラント号

 

ふぅぅぅぅ!

漏れあるかもしれませんが、

私はほぼ自宅で映画を見ないので

劇場でこれだけ観たのです!ナニに頑張っているのだ!

 

つくづく

 

リバイバル上映が多く、

今年の作品をあまり観てないのと

特集上映やシネクラブ上映モノが多すぎるので

 

年間ベストを出せません。

 

強いて言えば

『翔んで埼玉』と

『いわゆるフランス版シティハンター』の出来があまりによろしかったのと

 

年末に観た『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』の

本気出したドパクリ(時空を超えるレベル)に

実家の父にマジオススメするほど謎の満足感があったのと

 

『バーニング 劇場版』『COLD WAR』『幸福なラザロ』は入るとして

 

いちばんエモくて琴線にピックがジャカジャカあたりまくったのが

フィルメックスで観た『熱帯雨』だったということを

お恥ずかしながら白状いたします。

 

私の仕事は早朝出勤のことも多く、

夜明けのうっすらした空気の中、

ぼんやりしながらトーストにコーヒーを飲みながら

Spotifyで聴いた

『サマーフィーリング』のサントラが

異様に沁みたことも申し添えます。

https://open.spotify.com/album/5tbUspt3t6ULxtovEhdshR?si=cEj36PX1TT60teqpT4Xl8A

 

地味な記事でした。画像の一つも入れろよな。

 

 

   

 

 

人生の実り。(第32回TIFF『リリア・カンタペイ、神出鬼没』)

……またもごぶさたでした。

 

ええ、やられてました

自律神経の不調と

 

アルコール中毒の足音がひたひたとしのびよる日々でした

 

もうね、ブログ更新する気にならないの。

パソコン開けないの。 

まぁいいわ。書き始めれば書き終わる気になるでしょ。

 

さて。

先日の第32回東京国際映画祭

ラインナップみて

   

    えらくまぁ

     渋い方面に行ったな。

       渋いっていろんな意味でね‼︎!

 

ほんとに渋かったのよ。

                              来年大丈夫かってな勢い。

 

私はもう色々諦めて

観られるもんを観ることにしました。

 

結果

東南アジアの珍品が揃いました

 

親指立てて溶鉱炉に沈んでいきそうなインドネシア映画とか

雪山のホテルの中でクリーチャーと決死の闘いとか… なんかそんなん観たことある……これとかこれとか……

月面着陸はフェイク?を目撃してしまった可哀想なおっさんを、まさかのデヴィッド・リンチ感満載で描いた作品とか

なんか妙なもんばかり観てました。

 

コンペ……

観なかったなぁ。

『ばるぼら』アトランティス』しか観なかったかなぁ。

いや、なんかスケジュールが合わなかったんです。

 

ワールドフォーカス……

   来年にはもっと減ってるんじゃないの?

 

   仕事全抜きしてまで通うほどのもんかなぁ、

   と来年からちょっと考えた方がよさげかも。

 

ところで。

東京国際映画祭では

時に素晴らしいドキュメンタリーが上映されます。

第31回で上映された『カーマイン・ストリート・ギター』、

第30回で上映された『サッドヒルを掘り返せ

大好きです。

 

こういう「琴線に触れる」作品があるから映画祭通いはやめられない。

今回もありました、そんな愛すべき1本。

 

 長年「無名の職人」だった人が

人生の大詰めでスポットライトを浴びる瞬間。

そんな「ありそうでなさそうなこと」

あったら素敵ですよね。

 

例えば……『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)。

行方すら定かではなかった老音楽家たちを探し出し、

全世界的スターへと押し上げたのは

ライ・クーダーヴィム・ヴェンダース

あの今も残る名曲の数々は、

無名の音楽家と、

彼らへのリスペクトがあってこそ。

 

今回突然、8年も前の作品が上映されました。

とある老女優。

映画出演数はギネスもびっくりクラス。

しかし、彼女の名を「誰も知らない」

彼女の名は リリア・カンタペイ

 

2019.tiff-jp.net

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魔女やら幽霊やら、不気味な役やらせたら天下一。

30年もの間、そんなハンパない端役を務め続けた彼女が、

賞レースに放り込まれた!

さあどうなるどうなる?

 

素顔はとってもチャーミングな、フィリピンのおばあちゃん。

住んでいるところは、生活感あふれる……ちょうどそう……ブリランテ・メンドーサ『ローサは密告された』 (2016)の舞台となった住宅街にも似たカオスで活気あふれる街です。

家族、ご近所、皆とってもパワフルでチャーミング。

 

ノミネートを新聞で知って本人に知らせなかったのかよ)、

突然のスポットライトにそわそわドキドキのリリアさん。

お仕事の依頼は近所のおばちゃんが受けてくれます。

何度も何度も、近所のおばちゃんに「依頼ない?」「依頼ない?」

おばちゃんはその度笑顔で「ないよ!」

 

たまにエキストラのお仕事が入ってくると気合満点。

娘さん(?)を付き人に意気揚々と現場入り。

しかし……

 

あくまでエキストラとして呼ばれたリリアさん。

待遇はあんまり芳しくありません。

     トイレも使わせてもらえないのです。 

 

プロとしてのプライドがあるリリアさん。

セリフの有無の確認も抜かりありません。

しっかり役作り。

しかし……

 

「ホラーで顔を知られ過ぎている」という理由で……

 えぇぇぇ

 

権威ある賞の助演女優賞ノミネートということで

テレビ取材がきます。

リリアさんの勇姿をテレビで観よう!

街のみんなが集まります。

しかし……

 

ここで。

すみません。

結構私、ミスリードされていました。

この作品。先ほど数本ドキュメンタリーの名作佳作を挙げておりましたが、

これ、ほぼフィクションらしいのでした!

 

リリア・カンタペイという、実在の女優。

フィリピン映画界でエキストラ人生を極めた彼女と、エキストラが置かれるゆるーくも理不尽な状況を、

これ以上ないユーモアと愛情をもって描いた、フィクションだったのです。

 

ご家族もご近所も、みんなプロの俳優さんが「演じた」もの。

ちょっとこれには驚きです。

 

膨大な出演数を誇るリリアさん。

知る人ぞ知る存在。ファンサービスも怠らず、プレゼントするグッズもちゃんと用意されている(このグッズのデザインがまた秀逸なのでみんな観てほしい。面白おかしく丁寧なこういう細部の仕事、これぞモキュメンタリーの醍醐味かもしれません。)

彼女を通じてフィリピンの映画スターは皆繋がっているという。(ケビン・ベーコン指数、という例えがすごくおかしい!)

授賞式のシーンにもそのことに対するリスペクトがしっかり伺えます。

 

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スターだけではなく、それを支えるエキストラにも、もっと光を。

現在は大スターをも起用して映画を作っているアントワネット・ハダオネ監督の、若き日の熱意。

 

街の人々に訊いてまわります。

「リリア・カンタペイを知っていますか」

街の人々は首をかしげます。

 

しかし、リリアさんの写真を見せると、彼らはとっても優しい笑顔を浮かべて

「この人なら観たことがありますよ」「よく映画に出ていますね」

長年映画に出続けてきた彼女。彼らにとっては「刷り込み」のように記憶に残る存在なのでしょう。

監督の愛情しか感じられないこのシーン。

 

『リリア・カンタペイ、神出鬼没』

ここでリリアさんに与えられたキャッチフレーズは

「フィリピン・ホラーの女王」。

女王ですよ! すごい出世ではないですか!

 

地道に求められた役割をこなし続けてきた、老いたるプロフェッショナル。

決して、彼らは「栄光」を求めてきたのではないと思います。

あくまで彼らは、職人として、生活の術として、その役割をこなし続けてきたのだと思います。

 

しかし。

それに意味を見出し、別の角度から光を当ててくれる。

そんなサポートによって、

彼らの仕事が広く知られることになったなら。

それは彼らの人生にとって、思いもよらぬ実り。

素敵なことではないですか。

 

さて、この作品はほぼフィクション、台本どおりなんだそう、と先ほど申し上げました。

しかしリリアさんは、「自分のドキュメンタリーである」と認識していたそうです。モキュメンタリー、という考えがなかったのかもしれません。昔ながらの映画人ですから。

ちょっとこの辺りは制作の意図と演者の意図と食い違いがあったのかもしれませんが、

リリアさんの名演はその勘違いゆえかもしれない、と思うとそれもまた良きかな。

 

愛に溢れたこの映画、フィリピンの映画祭に出品されました。

シネマワン・オリジナルズ映画祭2011

 

……主演女優賞を獲得したのは

リリア・カンタペイ!

よくご覧ください、Wikiにもしっかり! 

泣ける話ではありませんか。

(追記・今頑張って英語Wiki読んでみたら、フィリピン国内各賞のみならず、ウーディネ、スイスのヌーシャテル、そして釜山にもオフィシャルで出品されているようでした! リリアさんが現地を訪れた写真もあります。

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https://m.inquirer.net/entertainment/65326

すごい! )

 

フィリピン・ホラーの女王、リリアさんは3年前にお亡くなりになったそうです。

そして、制作から8年の時を経て、この作品は私たち日本の観客へ届けられました。

 

映画愛っていうとすっごくすり切れた言葉かもしれません。

けど、それって確実に、あるんですね。

 

ちょっと涙を拭いながらシアターをあとにしたのは内緒です。

(余計な追記あり)「らしさ」ってなんだろう、もしくは拭いがたい「男らしさ(あるいは「男らしくなさ」)」への視線について。

やっと……

やっと……

夏の暑さが一段落しました。

 

おひさしぶりです

 

前回の記事のあと

仕事のしんどさと

しんどい仕事が終わってから観る映画と(ええ、交通費を浮かせるためですとも)

そうこうしているうちに気圧だるが本気出してきて

お日様全然拝めずひと月くらい梅雨の湿気に悶え苦しみ

普段より2週間伸びた現場で燃え尽きてそのまま寝込み

次の夏の繁忙期がきた頃には

 

あんなに寒かった7月が嘘のような猛暑に見舞われ

完全にバテておりました

 

私は一種の中毒なので、ちょいちょい挟まるまとまった休みがあっても、

ついついこいつのせいで休日ふいにしてしまうのです。

 

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人間をダメにする飲み物です。

 

さて。

珍しくシラフで過ごしていたある日。

こんな記事を見かけました。

 

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この記事を読んで、

私の脳内に数本の映画がパパパっと思い浮かんだのであります。

「あら男の子がそんなもの好きなのうふふ」と言われがちなテーマについては

最近少々思うところがあったのです。

ジル・ルルーシュシンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(2018)と、

ジェイムス・エルスキン『氷上の王、ジョン・カリー』(2018)です。

 

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かたやベタベタのフランス産コメディ、それでいてかなり「フランスの社会問題」を扱った作品。

かたや複雑なめんどくさい性格の、しかし「芸術」に対しては信念を曲げることを毛ほども考えない、インスブルック五輪金メダリストの生涯。

随分毛色の違う作品かもしれません。

しかし、この2本、ある共通した問題を内包しているんです。

「アートとスポーツ」に対して向けられる視線と言うものについて。

 

言うまでもありません。

ジョージ王子が学ぶ「めずらしい学習科目」ゆうても「彼らなしでは」まともにカンパニーは存在しえません。

彼らなしの「白鳥の湖」やったら逆トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団ですわな。

とりあえず身近なところで熊川哲也に謝ろうか。意味はないけど。

 

バレエものの映画ってめっちゃたくさんあるんですよね。

最近だと『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(2018)とか。

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(2016)とか。

上の記事っぽいかなぁ、と思ったのは『リトル・ダンサー』(2000)。

 

しかしながらわたくしはバレエに特に興味はありません

よって 観ていません。どれもこれも。

むしろスノッブな「私バレエ詳しいんです」と言うお方には全力でパイを投げつけたいくらい嫌いです。どうしてでしょう。舞台やお芸術にじゃぶじゃぶとお金つぎ込んでいるパトローネ気質の御仁の足元にピアノ線張りたいと言うこのねじくれ曲がった根性。たぶんお高い観劇代をポンポン出せるブルジョワに嫉妬スピンしてるだけです。

ともあれ興味がないものは仕方ありません。

 

だから、「あくまでも私が観た作品」についてちょっと思うところを述べてみたいと思います。

 

例えばだ。

ジョン・カリーは「バレエをやりたい」といって親に反対され、フィギュアスケートを選ぶ。

当時の男子フィギュアスケートってかなりパワー系チカラ自慢系なところがあったらしく、彼はその中で「いかにフィギュアスケートを芸術に高めていくか」に注力していく。

 そして、親に反対を喰らった理由は「バレエは男らしくない」……

 男が優雅に踊るというのは「みっともない」ことだったらしいのです。

 

例えばだ。

「男子シンクロナイズドスイミング」(今は「アーティスティックスイミング」と呼ばれてるらしいね)については、私たちは『ウォーターボーイズ』(2001)ですっかり慣らされてるよね。

妻夫木やら玉木やらの若きイケメンどもとは異なる、どうみてもトドやコグマを連想させるフランスのおっさん達が、それぞれの問題を抱えつつシンクロ世界選手権を目指し奮闘する姿を見てクスクス笑っていただけだったのだが。

ただ一箇所、カメラがパンする間に映された壁の落書きにギョッとする。うろ覚えなのでまちがっていたらすまぬ。

シンクロオカマどもめ」そんな感じの落書き。画像が見つからなかったのでこんな感じ。わずか1秒くらいのカット。けど、「まだ「踊る男たち」についてこんなヘイトぶちかまされるんだ」という。このカットぶち込んだ監督すごいな。

 

まぁ「男らしさ」という言葉に随分翻弄されたジョン・カリーは実際に同性愛者であり、成績が上がっていくにつれ、どんどん頼んでもいないのにアウティングにさらされてしまう訳です。

まぁこんな映画がこさえられること自体アウティングで余計なお世話なのかもしれんのですが。寂しがり屋なパリピで、しょっちゅう相手をコロコロ変え、しまいにはカンパニーひとつが同じ病気で壊滅してるってそれって()とまぁ考えてしまう訳ですよゲスなわたくしとしては。

 

この映画は、とある世界選手権銀メダリストのガチヲタ勢が後押しして公開に至ったという作品ですが、彼がカリーの「芸術上の葛藤」にフォーカスを当てようとしていたのは

この映画そのものは、カリーの理想とする「芸術」と同じくらい「彼のセクシャリティ」にフォーカスが当てられているからなんじゃないかな、と思う訳です。

それはそれで一つの事実。「男らしさ」という言葉にあんなに反発していた彼が、「男らしさの極み」のような演技を見せるんですよ。私はあれを思い出しましたね、

 

ヅカの男役

「それになりきる」技術ですよ。

「どういう魅せ方が男らしく見えるか」の研究の結果なんだろうなと思います。

 

幸か不幸か私は女に生まれてしまったので、「女らしくない」とか「女であること」についてあんまり真剣に考えてこなかったんですよ。

もっと真剣に考えていたなら今頃人生変わっていたでしょうね。あまりに無頓着であるがゆえに私を「女の子が好きな女の子」だと思い込んでいた人も結構いたらしいですね。それもまた「そういうふうに生きている女って」という偏見ですよ。

流石にこの歳になるとただの難あり売れ残りババアとしか……と苦笑いとともに口走る程度に「女の年齢」については実際に散々痛い目に遭っていますので考えざるを得ないですが。

その辺りは昔の日本映画ってすごく残酷で、もう30過ぎたら逝き遅れの大年増、家庭におさまっていなければ真っ当な生活を営めない、そんなイタい描写ゴロゴロ出てきますからね。観るけどね。観て「価値観……(略」と思う訳ですよ。

 

もっとも。

ジョン・カリーが生まれたのは1949年、死んだのは1994年。

先ほどご覧に入れた「ジョージ王子がバレエを習いたがってるんですってクスクス」な記事は2019年。

令和のお話ですよ!元号の概念ないだろうけど!

 

「こうあるべき」という意識ってすっごく保守的で変えられないのかもしれませんね。

それは長い間葛藤にさらされ続けている人々がいるっていうこととイコールです。

 

youtu.be

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ちなみにさっきwiki眺めていたら、

「ジョン・カリーを看取ったのはアラン・ベイツ」という記述があり

 

まぢかすげぇぇぇ

と思った次第。

ザ・シャウト さまよえる幻響』(1978)

の怪演がどうしても忘れられない。交友があったんだ……

 

追記(翌日早朝)

ところである程度スケート見ていると、「採点基準」という言葉をよく聞きます。

ジョン・カリー自身「採点競技は政治である」とおっしゃっていますし、カリーの直系とも言えるジョニー・ウィアー氏もかつてそんなことおっしゃっていたことが。

デリケートなんですよ、採点競技って。

ちょっと表を貼ろうかと思ったのですが、浅田真央ちゃんの表は諸々議論のタネなので、有無を言わさぬコレをご覧ください。

 

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かように、読める人には読める採点表(その裏側も読めちゃったりする)があるわけです。

そこで野暮な疑問が……

 

シンクロ世界選手権でフランスのコグマチームがあの結果を出せたのは…なぜ?

 

こはちょっと納得しかねる。

ちゃんとアーティスティックスポーツの選手権ならばだ。採点基準はあるんだろうな?

 

エアギター世界選手権とかメタル手編み選手権とかあるんだから野暮抜かすな、とも。

しかし。

そんな飛び道具的選手権と同じように考えてしまったら、

 

男子シンクロをイロモノ扱いしてるっていうことではないのでしょうか?

考えすぎ?

陳宏一『自畫像』のこと。(台北セブンラブ観てきたよ)

やっとの思いで仕事の休みをとった5月1日。

台湾巨匠傑作選2019の目玉『台北セブンラブ』が観たかったんで頑張って休み取ったんだけどさ。

www.taipei7love.com

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まぁもっと早く起きやがれ、って話なんですが

映画館でモーニングショーやってる時点でそっちに合わせなきゃならんのはしゃーないんだけどさ

 

うちを出た時点でTwitterには「残席30」

あと1時間で間に合うわけがない。

 

上映1時間以上前にもかかわらず

案の定「えー完売?」の阿鼻叫喚。以上、現場からお伝えいたしました。

 

令和初日ただでさえ特別な日にぶつけやがって。

プンスカやるかたなかったですよ。

この日しか!休めなかった身としては。

 

さよう、ゴールデンウィークは仕事しておったよ。

ただでさえ各所特集上映が固まって

カラダがひとつでは足りんところに

 

そもそも仕事だし 全然観られんでストレスマッハでござった。

 

さてゴールデンウィークとは。

1951年(昭和26)、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画『自由学校』が正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、多くの人に映画を見てもらおうと、当時、大映専務であった松山英夫氏による造語で和製英語

 

だそうで。語源由来辞典より。

そもそも論でこの時期働いている人間には映画観せる気がないウィークでもあったのだ。ため息。

 

まぁ文句あるならクラウドファンディングに参加しろとな。そやね。出資しろ。気づかんかった。すまんかった。

腹立てたままビリヤニ 食いに行った。機嫌ちょっとおさまった。

 

というわけで。

私、以前台湾に行った際に、陳宏一監督の作品は観ているんです。

『自畫像 The Last Painting』(2017)。

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(いつもながら生活感あふれる撮影ですな)

 

そうとう、過激です。

スリラーでもありセックス描写も半端ない。

現代台湾の作品らしく、政治もジェンダーも全部盛り。

         英語と中文字幕で観たので完全に理解してるとは言えませんが

個人的にはかなりいい映画だと思うのでみんな観てほしい。そしてあるシーンでうげっと言って欲しい。

 

「女」として見られたくない女の子と、その親友。いかにも芸術家なルームメイト男子と、その彼女?セフレ?

 

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「女であること」「男であること」が無意識に犯す領域。曖昧に溶けつつある境界。これまでの価値観が通用しなくなってくる中、「タブーが曖昧だからこそ踏み込んではいけない」微妙な線をぐいぐいえぐり込んでくる。まぁ、エグいです。「触れられたくないところ」にぐいぐい触れてくるのでエグいです。

 

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「芸術」というフリーダムさを隠れ蓑にして台湾映画の流行としてのスリラーを描き、そしてこれは「同志片」でもあり(ちょっぴりネタバレ)それを描くには欠かせない政治性も。(「なんで取らないの」って聞くのはセクハラなんだぜ!)

まぁ海鮮丼全部乗っけ並みのカオスだよね!

 

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7つの大罪」が大きなテーマになってるらしいことが語られたところは私の英語力が追いつかず、ちょっと記憶も曖昧。

 

7つ……までしか読めなかったので

七人の侍

かもしれぬ

 

主人公の女の子は、張作驥『酔・生夢死』(2015)にも出てた張寗 (この漢字が出なくてすごくあちこちのサイトを回る羽目に。チャン・ニン、と読むのかな)。この吸い込まれそうな黒い瞳がキーです。まぢで。f:id:ohirunemorphine:20190519215649j:image

 

アートをテーマにし、また映画そのものもアートをめちゃくちゃ意識してるので美術がダークかつ鮮やか。

 

音楽もいいんです。

最近、素人ながらも頑張って台湾インディーズ探ってる身としては、この作品の音楽は「おおっ」でした。

Cicada管弦楽ユニットなのかな。(カメラがパンするとナチュラルにこの方々が演奏している、というちょっとしたネタバレ……記憶違いかもしれません。すまん。

 

いくつか貼っておきますね

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余談ですが、

『フォーリー・アーティスト』(2017)

東京国際映画祭で上映された際のことです。

 

その前日、中華圏エンタメに異様に詳しい知人とコーヒー飲みながらこの『自畫像』の話をしていたんですね。

で、最近台湾では、楊雅喆『血観音』(2017)みたいなスリラーが流行りだっていう話を聞いていたわけ。

で、『自畫像』で  うげぁぁぁ ってな気分になった場面の話をしてたんです。聴覚に訴える恐怖。

 

そしたら『フォーリー・アーティスト』のQAで、なんとこの日本未公開の『自畫像』についての言及があったらしく。

私が恐怖したあの音がどう造られたのかが語られたそうです。

 

あの黒い瞳がどうなっちゃうのか……

マグロの目玉がキーワードらしいよ!

 

以上。

アップリンク吉祥寺で上映だけど期間短いんだよね……頑張ろう……

 

(2019.5.28追記)

観てきました『台北セブンラブ』。

意欲作、と言っていいと思います。すごくいろんな試み、重層的でメタな構成。

感想追記してたんだけど、書いてる途中の文章晒すのも読むのも大して面白くないので別項立てます。