映画について私が全然知らないいろいろな事柄

@ohirunemorphine が、だらだらと映画についてあれこれ考えます。

もし私の人生にミニシアターとレンタルビデオがなかったならば。

ご無沙汰してます。

篭城生活ひと月になろうとしています。

 

実際のところはそれ以前から仕事がなくて

出不精全開でほぼうちから出なかったので

もう

 

ふた月かよ……ため息も出るわ

 

いい加減カラダは痩せ細り(筋肉が落ちたという意味で)

睡眠も不安定で

酒量と薬の量はうなぎのぼり

起きていてもする事はなく

眠りたいのに眠れんという

最低の日々を過ごしております

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

さて。

最初は仕事がなくても映画行ったりしてのんびり過ごそうと思っていたんです。

本来だったら4月半ばから次の仕事の予定は入っていたし。

行きたくない地域だったから転職も視野に入れて(私の世代がいちばん転職しにくいのはもう知ってる)。

しかしそれもコロナの影響で無期限延期になりました。学校相手の仕事なもんで。

かなりの高確率で失業保険入ってない失業者になりかねません。誰か仕事ください。

 

こんなやつで珈琲飲ませるサテンとかで働いてみてぇなぁ

ほらあるじゃんおしゃれなブックカヘとやらとかさぁ

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そもそもこいつはおしゃれじゃない

気づいちゃった うん知ってた

 

映画館もご存知の通り閉鎖になりました。

ただでさえ「こりゃやべぇからチッとばかり見納めとくらぁ」とばかりに行った、

4月2日TOHO日比谷デッド・ドント・ダイ』ですらスッカスカでしたよ。

ハシゴしたシネマート新宿の『SHELL and JOINT』はでかい方の劇場だったからまぁ埋まってないのは仕方ないけど(これ実は結構面白かったのでオススメ。公開時期の運悪かったなぁ)

ヒューマントラスト渋谷『ミッドサマー』のぎゅうぎゅうぶりが懐かしいよ! あの時すでにマスクかけてないと心配になりかけてた時期だからたぶん2月半ばだよね。

 

あれなんですよね。不要不急のものは全て削られてる現在。

人間、自分の興味のあることは世間的にも必要不可欠なものだと思いたいんですな。興味バイアス。

先日友人と電話してて

図書館司書って世の中に必要不可欠なお仕事じゃないか!」と彼女がマヂ声で言うので

(私の前職は司書、おそらく転職するとしたら派遣司書しか選択肢はない……

 ほんとイヤなんだけど

「馬鹿野郎現在必要不可欠な図書館つったら国立国会図書館くらいだろうが」

 

その国会図書館も閉鎖されており、図書館と名のつくところは一様に不要不急の施設として自粛要請が出てしまっているわけです。

そもそも非常勤の司書の給与がやっと都内で1000円超えたわと思ったら

都内の最低賃金ギリギリだというな。間違っても埼玉茨城千葉の図書館には勤めらんねぇマヂ無理。

しかし今やってるイベントの仕事もほぼ最低賃金だから待遇的にはどっこいですわ。弁当出るからまだマシ。

大学図書館は勤務時間が短いところがほとんどで食っていけねぇけどな。無理。

 

これは書店も同様らしく、なぜか新刊書店は開けていてもおっけいなところ、

古書店は自粛要請が出てしまっているんだそうです。なぜ?

 

神保町大丈夫かよ

古書店と映画館の街! わが青春の街神保町! (思い出深いだけで住んだことも通勤してたこともないよ)

古書店と映画館は必要不可欠だよ! 興味バイアス!

 

というわけかどういうわけか、

ふといろんな記憶がふつふつと湧き上がってきました

 

映画を観始めた頃(みはじめたころ)!

 深夜放映されていた不思議な映画(ふしぎなえいが)!

 チャリで通ったレンタルビデオ(れんたるびでお)!

 まだ田舎にも映画館が残っていた頃かかっていた奇妙な映画(きみょうなえいが)!

(卒業式ごっこにも飽きたので普通にやります)

 受験で初めて東京にひとりで連泊、ふらっと入った池袋ロサ会館での映画パンフ市。

 神保町古書店街で昔の雑誌や古パンフを漁りまくった時期。

 月一回、鈍行で上京してワクワクしながらハシゴした映画館。

 シネ・ヴィヴァン六本木で観たあれこれ。『季節のはざまで』『書かれた顔』『魂を救え!ダニエル・シュミットとかデプレシャンとかかよ。田舎の大学生が理解できたのかよ。背伸びしてたな。セゾン文化の残り香をクンカクンカしてた頃。

 パルコスペースPART3で観たスコリモフスキ『出発』。シネセゾンのレイトでやっていた薄い記憶がある『唇からナイフ』『キャンディ』。渋谷系の流れというのかなんつーのか知らんけどオシャレな映画が次々発掘され上映されてた時期があった。ウォン・カーウァイのブームもこの辺りじゃなかったかしら。レイト観てからどうやって帰ったんだろう。どう考えても終電は過ぎていた。

 シネクイント、「フィルムの状態が悪く、これが最後の上映です」というので客がびびるほど詰めかけ、あらゆる空きスペースに平台を積んで極限までヒト押し込んで上映された、『草迷宮』。みんな寺山お面をかぶっていたぞ!  

         数年後しれっとデジタルレストア版が上映されズッこけたのだが

 都内近郊に転居したものの、陸の孤島で交通費が異様に高くやはりなかなか行けなかった東京の劇場。

その街にもシネコンができて、みんなでクルマ相乗りして行ったり(その街の映画文化黎明期に燦然と輝く歴史的作品が『少林サッカー』だということは事実である)。

 今思うと良い品揃えだったレンタルビデオ店。初期カウリスマキも初期オゾンも初期園子温もここで知った。今じゃ観られない『カップルズ』『恋愛時代』もここで借りた(けど内容完全に忘れてる)。

 レンタル半額デーの明け方に行くと必ず知り合いに出くわして「おはよう? それともおやすみ?」が挨拶だった水曜の朝、午前5時。みんな昼夜逆転生活だった。

まだ冊子体で発行されてた「ぴあ」。月イチの上京日、渋谷で時間がぽかっと空いていたので観たのが『ふたつの時、ふたりの時間ツァイ・ミンリャン。まだユーロスペースが駅の反対側にあった頃。衝撃的だった。これが私の台湾映画好きの原点。

おそるべきことに例のレンタルビデオ店にあったのだ、『』も『Hole』も。

 

こちらの写真をご覧ください。

ツァイ・ミンリャン作品にサントラが出てたんですよ!

今探し出して写真撮りました。

片方はちょっと色が悪くなってますが、この頃のパンフって凝ってたんですね……

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あの頃勢いのあった配給会社はなくなってしまったところも多く、今となってはなかなか観られない作品が惜しい。

渋谷も新宿も、その場所でミニシアターの代名詞として挙げられていた劇場はもうない。シネマスクエアとうきゅうには行ったことがあっただろうか? シネマライズは首が痛くなるのであまり好きではなかった。『まぼろし』や『アメリ』を観に行ったときにはそんなことなかったので、構造がしょっちゅう変わっていたのかもしれない。『バードマン』みたいにどこでもやってるような映画をかけるようになって「やべぇな」と思ったが、その予感は当たった。

ライブハウスWWWとして現在営業しているが、段差が大きいのでとても見やすくて、好きな箱だ。映画館だった頃はなんであんなに首が痛かったのか。

 

かように私の映画体験は「ミニシアターとはいってもメジャーなところ」「レンタルビデオ」そして「80年代後半〜00年代の空気」に大いに依存している。アンスティチュ・フランセアテネフランセ新文芸坐シネマテークユーロライブなどのシネクラブ、東京国際映画祭東京フィルメックスなどの映画祭、特集上映などなどに普通に行けるようになったのはごく最近のことだ。なぜなら郊外の大学の司書を辞め、自由のきくイベントスタッフに鞍替えし、都内への交通費が浮くようになったからである。

司書とイベントスタッフの間にひとつ職歴があるのだが、これはあまり大っぴらにしたくない。はっきり言って恥の歴史である。根性で続けようとした仕事だが神罰だか仏罰だかを喰らった。しかしおかげで人の前で喋るのは不得手ではない。

ちょうどビデオから円盤へとメディアが変わる時期。権利問題かそれ以外の問題か円盤になり損ねた作品も多い。

そもそも日本公開されておらず、したがってソフト化もされておらず、普通に映画を観ている人には手が届かない作品もそれ以上にたくさんある。そういった映画をかけてくれる場所は実にありがたいものだ。

通常の上映形態では観ることが叶わない作品を貪るように咀嚼し、時に胃もたれし嘔吐するように自らの知識のなさに嘆息した。おそらく一生嘆息し続けることだろう。

 

近い将来、この混乱が収束した時。

私がどうやってなにをやって活計を立てているか今は想像もできない。

しかし、17歳の私が1本のイタリア映画に出会って以来、人生がこのように(まっとうではない方向へ)転がり続けている以上、

私にはおそらく「映画」が必要なのであろう。

 

ここ数ヶ月で経済は恐ろしいほど落ち込んでいるが、

好事家というものは真砂の数ほどいるもので、

このようなクラウドファンディング

motion-gallery.net

 

3日目にして目標額を達成し、昨日には2倍の2億円を突破しまだまだ時間が残っている。

(えっめっちゃ凄ない? Twitter開いて課金して寝て、次開けたらもう目標達成して次のステップってそりゃびっくりしますよ。いいぞもっといけ!)

そして

www.change.org

このような署名活動も起きている。もちろん両方参加した。即日。

 

「課金したい」と思うものは人それぞれだろう。

「課金する」というのは全く便利な言葉で私は積極的に使っていきたいくらいだ。

「身銭を切ってでも」「支援する」を包括した便利な言葉だよね!

しかし本来、これは我々だけではどうしようもないレベルの大きな問題なんだろうと思う。

市井の人々の善意だけではどうにもならないんだよ! うちらだってもう食うや食わずだよ!

(と缶チューハイをあおりつつ)

 

不要不急のことに一切金を使わない上に

全くもってどうでもいいことはバカバカ金撒き続ける情けない日本政府。

毎日毎日ニュースを見てはため息しか出ない。

 

なけなしの金を集めてどうにかしようってしてんのに全くおまえらなにやってんのさ!

 

あ、なんか腹立ってきた。

怒ってはいけません。

 

あー、劇場で映画みてぇ。