映画について私が全然知らないいろいろな事柄

@ohirunemorphine が、だらだらと映画についてあれこれ考えます。

バブルな音楽映画。

 80年代後半に製作された音楽映画にちょっと興味があったのです。

なかなか観る機会がないそれらの作品。

神保町シアター様がなぜかちょいちょいかけてくださるので今回書いてみようかと。

  

普段は古い日本映画の名作の数々をかけてくださる神保町シアター様ですが

新文芸坐様と合わせて森雅之ご出演作がたくさん上映されるので

 遅れてきたコレクターには心強いです)

どういうわけか時々

時代の徒花

としか言えないような珍品が出てくるんです。

 

昨年末は『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』(1985)なるバブリーな作品をかけてくださいました。

『ふ・た・り・ぼ・っ・ち』(1988)の主演は最近また再結成ライブを行なって我々世代をしみじみさせてくれたバービーボーイズKONTAでございました。

 

数年前には『すかんぴんウォーク』(1984)(吉川晃司!  いうまでもないけど!)もこちらで上映してくださいまして、ありがたく拝見いたしました。

2017年秋ですね。ところでクレイジーキャッツ祭りの中これをチョイスしたということはなんという変化球でしょう。ナベプロ

 これが私としては非常に「いい!」と思える作品でした。いや、これいい作品ですよ。

 

実はこの作品を観て「アイドルミュージシャン映画」にちょっと興味が湧いてきたんですが、

思い返せばさらに遡って1年半前、2016年の晩冬でしたでしょうか。

珍品中の珍品がここで上映されていたのでした。

 

岡村靖幸主演。

『Peach どんなことをしてほしいのぼくに』(1989)

ええ、限定レイトショーで連日満席でした。

あまりの珍妙さ加減に

場内爆笑に次ぐ爆笑だったのが

だんだん皆さんその毒というかへんな瘴気に当てられて

すっかり静かになってしまったという

その「不可思議な空気」をよく覚えています。

 

私は随分と早熟な岡村靖幸ファンでして、早熟という言葉使いたかっただけ)

まだアルバムすら買うお金のない時期

  (ここだけの話CDデッキすら普及してなかった時代っすよ)

音楽雑誌をたまに買っては舐めるように眺めていたものですが

   日清パワーステーションのライブなんて行こうとする考えすらなかった

 

そんなある日

靖幸ちゃんが映画を作ったという怪情報が雑誌に掲載されました。

 先日実家に帰った時にこの一次情報を探そうとしたのですが、

 震災に遭った時にこの辺の資料が雪崩をうったらしく

 その後分類されることなくコンテナにぶち込まれていたため断念しました

 

「これは、純愛ブルーフィルム」

 とかなんとかいうキャッチコピー。

「演技なんて簡単だった」とか舐めくさったこと雑誌のインタビューで語っていたのを覚えております。

 (この辺のしっかりした資料が実家のどこかに埋れてるはずなんですけどね)

確か……上映は「パルコ劇場」だったんではなかったでしょうか?

景気のいい話ですなぁ。こんな映画パルコ劇場でかけるとは

 

監督は坂西伊作。

「eZ」というものすごくセンス良くてカッコ良い音楽番組を手掛けてらっしゃいましたね。EPICソニーのPVをたくさん撮影されてた方です。

 

 

まぁ……ミュージックビデオを手がける映画監督は結構いますが

この『Peach』は

もはやただの長ぇ靖幸ちゃんのPV でありそれ以上でもそれ以下でもない

 強いて言えばバブルの時期の軽薄な若者の恋模様(イメージです)……

高校中退してすぐ作曲家として仕事始めちゃった靖幸ちゃんの「憧れの青春」だったのかもしれんですな。

 

(しかしその後無理やり友人を連れ出して江ノ島ドライブを試みたのは秘密) 

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(ちょうどいい写真が見つからなかったので画面撮りですよ。なにしてんだオレ)

 

先に靖幸ちゃんについて字数を割きすぎましたが(愛ゆえそしてあまりの珍品ゆえ

※お詳しい方からのご指摘で、この作品なんと配給アップリンクだということを知りました!アップリンクまぢか!ありがとうございます!

 

今回たまたまチェッカーズKONTA(あと玉置浩二ね)が出てる映画をまとめて見られたのと、

靖幸ちゃんの親友、吉川晃司の『すかんぴんウォーク』がなんであんなに面白かったのか、

映画として「ミュージシャンを役者として起用する意味」がどこにあるのかと、

つらつら考えてしまいました。

 

『CHECKERS IN TAN TAN たぬき』監督は川島透。

この映画はもうのっけから「売れっ子アイドル」をどう料理するかにかかっていますが、

初っ端のダンパシーンでもう大成功してるんじゃないか、と私は思いました。

バリバリのアイドルである彼らですが、音楽はものすごく忠実に50’sだし。

www.youtube.com

ちょっと『牯嶺街少年殺人事件』の演奏シーンを思い出してしまいました。

ちょうどいい動画が見つからなかったので、

こちらをお聴き頂きながら

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この画像をご覧ください。

 

まぁあとは彼らの可愛らしさを手堅く見せてくれて大変よろしい。

あとこのラストシーン!映画ならではのスケール感で大変よろしい。

場内を埋め尽くした「あの頃からのファン」のお姉さまがたの喜びようは

なんだかこちらも嬉しくなりました。ひょっとしてエキストラの方々だったのかしら。

 

『ふ・た・り・ぼ・っ・ち』は……

 これめっちゃ好み分かれるやつや 

 

どうしてこの手の映画の女性の演技って型があるんでしょうかね……

男の「嘘がつけない不器用さ」を出すにはKONTAじゃなくても適任がいたのでは(折角の人気ミュージシャンの無駄遣い……

監督は榎戸耕史。相米慎二の助監督を長年務め、この作品が初監督。

ボーイ・ミーツ・ガールものの傑作、という方もいらっしゃいますし

要所要所の処理が甘すぎてどうも……という方もいらっしゃるようです。

あちこちのレビューサイト漁ってしまいました。

 自分の感覚がおかしいのかと思ったのよね

ミュージシャンを起用するならある程度当て書きが要るのかも

 玉置浩二クラスになれば別だけど。

 いかにも嫌味ったらしい上司役で出ておりましたがさすがの達者さ。

 

そして吉川晃司『すかんぴんウォーク』ですが、

これなにがいいって「脇がガッチリ固まってる」ってのと

名曲「モニカ」がどうやって生まれたかの絶妙な「虚実皮膜」っぷり。

はっきり言って民川裕司は「主演」であり、同時に「売り出される対象」ではあっても

この作品を成功させているのは

 

のっけからバリバリ蟹食ってる蟹江敬三とか

「コドモに媚びた映画じゃねぇぞ」てな気概すら感じさせる鹿取容子の脱ぎっぷりとか

突然の宍戸錠とか

 

そして何よりも

山田辰夫の芸術性すら感じさせるスタンダップ罵り芸

 

脇のキャラ立ちすぎや

監督は『ヒポクラテスたち』(1980)の大森一樹。いい仕事しましたねぇ

      突っ込みどころのファーストシーンも含めましてね

 

ふと考えると

「何者でもない」若者をここまで大プッシュして見事大ブレイクさせるってのは

どんだけのブレーンとお金が注ぎ込まれたのでしょうか。

まさにバブリーすぎやろ

 

                  ちなみに私、その後の2作は未見です

              なお、画像や動画がないのは、リンクを貼っていいものかどうかわからないものしか見つからなかったという単にそれだけの理由

 

 

私はバブルに間に合わなかった世代です。

しかし、いろんなものにジャブジャブお金が注ぎ込まれた成果を見て育ってきた世代です。

バブルの残り香をクンカクンカしてきた世代です。

 

あの頃は何しろ普通な意味で子供だったのでいろいろリアルタイムで経験できなかったことを

今になって振り返ることができるのは幸せなことなのかもしれません。

まだまだ私の「知ってるようで知らないあの頃」があるのでしょう。

あー、ずっと書こう書こうと思ってたネタを放出できてもうそれだけで満足です。

 

しかしなんであんな景気のいい時代をこのクッソ寒い時代に振り返るという拷問プレイを食らわなければならないのだ

 

そういえばあの頃役者としても活動していたミュージシャンというと大江千里も思い出されますが

あの方は見た目がすでにただのリーマンで違和感が全く仕事していないという