映画について私が全然知らないいろいろな事柄

@ohirunemorphine が、だらだらと映画についてあれこれ考えます。

陳宏一『自畫像』のこと。(台北セブンラブ観てきたよ)

やっとの思いで仕事の休みをとった5月1日。

台湾巨匠傑作選2019の目玉『台北セブンラブ』が観たかったんで頑張って休み取ったんだけどさ。

www.taipei7love.com

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まぁもっと早く起きやがれ、って話なんですが

映画館でモーニングショーやってる時点でそっちに合わせなきゃならんのはしゃーないんだけどさ

 

うちを出た時点でTwitterには「残席30」

あと1時間で間に合うわけがない。

 

上映1時間以上前にもかかわらず

案の定「えー完売?」の阿鼻叫喚。以上、現場からお伝えいたしました。

 

令和初日ただでさえ特別な日にぶつけやがって。

プンスカやるかたなかったですよ。

この日しか!休めなかった身としては。

 

さよう、ゴールデンウィークは仕事しておったよ。

ただでさえ各所特集上映が固まって

カラダがひとつでは足りんところに

 

そもそも仕事だし 全然観られんでストレスマッハでござった。

 

さてゴールデンウィークとは。

1951年(昭和26)、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画『自由学校』が正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、多くの人に映画を見てもらおうと、当時、大映専務であった松山英夫氏による造語で和製英語

 

だそうで。語源由来辞典より。

そもそも論でこの時期働いている人間には映画観せる気がないウィークでもあったのだ。ため息。

 

まぁ文句あるならクラウドファンディングに参加しろとな。そやね。出資しろ。気づかんかった。すまんかった。

腹立てたままビリヤニ 食いに行った。機嫌ちょっとおさまった。

 

というわけで。

私、以前台湾に行った際に、陳宏一監督の作品は観ているんです。

『自畫像 The Last Painting』(2017)。

youtu.be

 

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(いつもながら生活感あふれる撮影ですな)

 

そうとう、過激です。

スリラーでもありセックス描写も半端ない。

現代台湾の作品らしく、政治もジェンダーも全部盛り。

         英語と中文字幕で観たので完全に理解してるとは言えませんが

個人的にはかなりいい映画だと思うのでみんな観てほしい。そしてあるシーンでうげっと言って欲しい。

 

「女」として見られたくない女の子と、その親友。いかにも芸術家なルームメイト男子と、その彼女?セフレ?

 

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「女であること」「男であること」が無意識に犯す領域。曖昧に溶けつつある境界。これまでの価値観が通用しなくなってくる中、「タブーが曖昧だからこそ踏み込んではいけない」微妙な線をぐいぐいえぐり込んでくる。まぁ、エグいです。「触れられたくないところ」にぐいぐい触れてくるのでエグいです。

 

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「芸術」というフリーダムさを隠れ蓑にして台湾映画の流行としてのスリラーを描き、そしてこれは「同志片」でもあり(ちょっぴりネタバレ)それを描くには欠かせない政治性も。(「なんで取らないの」って聞くのはセクハラなんだぜ!)

まぁ海鮮丼全部乗っけ並みのカオスだよね!

 

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7つの大罪」が大きなテーマになってるらしいことが語られたところは私の英語力が追いつかず、ちょっと記憶も曖昧。

 

7つ……までしか読めなかったので

七人の侍

かもしれぬ

 

主人公の女の子は、張作驥『酔・生夢死』(2015)にも出てた張寗 (この漢字が出なくてすごくあちこちのサイトを回る羽目に。チャン・ニン、と読むのかな)。この吸い込まれそうな黒い瞳がキーです。まぢで。f:id:ohirunemorphine:20190519215649j:image

 

アートをテーマにし、また映画そのものもアートをめちゃくちゃ意識してるので美術がダークかつ鮮やか。

 

音楽もいいんです。

最近、素人ながらも頑張って台湾インディーズ探ってる身としては、この作品の音楽は「おおっ」でした。

Cicada管弦楽ユニットなのかな。(カメラがパンするとナチュラルにこの方々が演奏している、というちょっとしたネタバレ……記憶違いかもしれません。すまん。

 

いくつか貼っておきますね

youtu.be

youtu.be

 

余談ですが、

『フォーリー・アーティスト』(2017)

東京国際映画祭で上映された際のことです。

 

その前日、中華圏エンタメに異様に詳しい知人とコーヒー飲みながらこの『自畫像』の話をしていたんですね。

で、最近台湾では、楊雅喆『血観音』(2017)みたいなスリラーが流行りだっていう話を聞いていたわけ。

で、『自畫像』で  うげぁぁぁ ってな気分になった場面の話をしてたんです。聴覚に訴える恐怖。

 

そしたら『フォーリー・アーティスト』のQAで、なんとこの日本未公開の『自畫像』についての言及があったらしく。

私が恐怖したあの音がどう造られたのかが語られたそうです。

 

あの黒い瞳がどうなっちゃうのか……

マグロの目玉がキーワードらしいよ!

 

以上。

アップリンク吉祥寺で上映だけど期間短いんだよね……頑張ろう……

 

(2019.5.28追記)

観てきました『台北セブンラブ』。

意欲作、と言っていいと思います。すごくいろんな試み、重層的でメタな構成。

感想追記してたんだけど、書いてる途中の文章晒すのも読むのも大して面白くないので別項立てます。