映画について私が全然知らないいろいろな事柄

更新がとまっていますが @ohirunemorphine が、だらだらと映画についてあれこれ考えます。

【ネタバレ有】ダミアン・マニヴェル監督ご推薦の映画について。ウジェーヌ・グリーン『ジョゼフの息子』。

先日のカイエ・デュ・シネマ週間では

泳ぎすぎた夜』の宣伝も兼ねてか

ダミアン・マニヴェル監督ご推薦枠で1本の映画が紹介されました。

ウジェーヌ・グリーンジョゼフの息子』(2016)です。

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(2019.12.17追記

   思わぬカイエ週間での再上映でご訪問アクセスがっと増えありがたい限りですが、

以下ガッツリネタバレしております。

ネタバレお嫌いな方はお読みにならないようお願いいたします。

読まんでくれ、という羽目に陥るとは思わなんだ…… 申し訳ありません。

 

 

 

これ、冒頭は大聖堂ドーン、オペラばーんで今にも ものすごく重厚な物語です って顔して始まるの。

うぉ、大丈夫か俺。

第一幕「イサクの犠牲」 そしてどどんと映し出されるカラヴァッジオの絵画。

 

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おフランスのアート映画… インテリ向けっぽすぎ…

とかなり身構えていたのです。

が。

 

のっけから

「仕事手伝ってほしい」「なんの仕事」的高校生男子二人のやりとりが

ひゃひゃひゃ

ってな引き笑いを誘い、そっからもう妙な可笑しみしかない、というね。

売るほど生産されるのかよそいつは… とこれはちょっと伏せといたほうがいい可笑しさ。

 

とりあえず予告編をご覧ください。

www.youtube.com

 

母、マリーと息子、ヴァンサン二人暮らし。息子は若干反抗期。

お母さんはお父さんのことを明かそうとしない。息子ヴァンサンはそれもあってかなり反抗的。

けど、知ってしまったんです、お父さんのことを。お父さんがお母さんを捨てた理由を。

ヴァンサンは仕返しに出かけます。

 

このクズ父を演じるのはわれらがマチュー・アマルリック

スノッブで軽薄なこのあたりの描写が本当にうまいの!

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クズ父のパーティーに潜入する息子。そこで頭が軽そうな人たちに話しかけられて口から出まかせで「自分は小説家だ」と適当なこと言うんだけど、「あら知ってるわあなたのこと」

適当すぎるだろ!

 

この場面は始終この調子なのだが、その辺にいる3人の適当な会話を映すカメラがいちいち

かくっ

かくっ

かくっ

そのザコの顔をきちっと映す律儀ぶり。やだなにこれ真面目なのかふざけてるのかおかしい!

 

まぁ物語を話しちゃうと、クズ父の事務所に潜入したヴァンサンはまんまとクズ父の捕獲に成功し、そのまま縛り付けて逃げ出すんだけど、

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その直前に父とその弟(彼が「ジョゼフ」ね)が会っており、逃げるところを弟(つまりジョゼフ)にうまく助けられるの。

父の弟と意気投合した息子は、彼を母、マリーと引きあわせる。父の弟と母、いい感じになる。

この時点で誰もその絡んだ糸に気づいていない

ただの母と息子と息子の友達、としか思っていない。

 

だんだんマリーとジョゼフがいい感じになってくる。

やがてジョゼフは「僕の育ったところを見せたい」と、一家で旅に出る。ノルマンディかなぁ、うろ覚えだけど。

 

しかしジョセフの生家では!

マリーを捨て、ヴァンサンに縛り上げられたクズ父がパーティーを開いていた!

例の軽薄な連中も一緒!

 

起こりうる事態。だってクズ父とジョゼフは兄弟なんだもん。

そのことに気づかないでのほほんとお家を見せていたジョゼフ。

そして

 

ヴァンサンとクズ父がばったり!

ストーカーがこんなところに!

クズ父、 

即通報!

 

逃げろ〜〜〜

 

ものすごい数の警官に追われる一家!

 

       さてどうなるどうなる?

 

さて。

ウジェーヌ・グリーン

ここで公式に近いところの日本語表記が出ましたが、

これもまた検索しづらい名前だよね。

アメリカ生まれのフランスの監督だそうです。

 

もともとは演劇方面の方だったとか。

だからかな。

画面がものすごくきっちりと構築されてるの。隙がない。

特に「人やモノの配置」に隙がないような気がする。

夜お散歩に出たお母さん、独り。

賑やかなお店には

カップ

カップ

カップ

カップ

カップ

おのおの様々にいちゃつくカップルが計算されたかのように配置されてる。

お母さん、独り。余計に浮かび上がる寂しさ。

 

ヴァンサンとジョゼフ、カフェのシーン。

真横から、左右対称の配置。

この綺麗な対称性が画面構成の基本かも。

  

これ、物語はかなり聖書が前提なんだよね。

マリア、ヨセフ、ヨセフとは血の繋がらないマリアの息子。この時点ではっきり

現在は立川にお住まいのあの聖人のご家族を思わせるよね

んで、

カラヴァッジオ「イサクの犠牲」ラ・トゥール「聖ヨセフ」、

フィリップ・ド・シャンパーニュ「屍衣の上に横たわる死せるキリスト」などの宗教画が象徴的に現れる。

でも、実はその知識は特にいらない。十分映画は楽しめる。

で、最後になって、絡みまくった糸は美しく回収されるんだけど、それぞれの「絡み具合」がわかりやすく描かれていてどこにもハテナマークの要素はなかったし、またとっても優しい!

これはダミアン・マニヴェル監督オススメだっていうのはなんとなくわかる。

シンプルで、優しい。

 

どーでもいいけどバイアグラでは生産性上がらないと思うの、高校生くん

 

さて。

私はだんだん薄れゆくこの映画の記憶を呼び戻すべく、あれこれ検索いたしました。

日本でも限られた上映機会しかないこの作品。あんまりたくさんのレビューは見つかりませんでした。

しかし、ここでも私がつまづいている、ある表現に出会ってしまったのです。

 

ブレッソン

 

ブレッソン的ってなに〜?

なんなんですか?

 

お恥ずかしながらブレッソンは「やさしい女」しか観たことがないのです。

結構上映機会あるはずなのに、ことごとく見逃しているのです。

なお、うちに録画した円盤はある。

 

最初にこの表現でつまづいたのは、

2013年にフィルメックスで観た、カザフスタン映画『ハーモニー・レッスン』(2013)。

filmex.net

(2013)。

これすっごく良かったんで、またどこかでかけてほしい作品なんだけど、

これのレビューでもよく出てくる表現なんだよね、ブレッソンを思わせる、って。

 

それ以来けっこうほうぼうで「ブレッソン的」なる言葉を聞くんだけど、

その正体は茫としてつかめない。

なんなんだろう、「ブレッソン的」って⁇